スタディサプリの誕生秘話

教育の格差を無くすんだ

代ゼミのビル

2014年8月教育業界に激震が走った
代々木ゼミナールが全国27校舎のうち20校舎の閉鎖と正社員の半数以上をリストラするという
発表がされた
筆者が子どもの頃は
各都市の駅前には「代ゼミ」のビルがあり
こうした予備校が全国にあることで
地方で勉学に励む若者にも
教育を受ける機会を広げ、夢を与えていた
しかし
教育機会の不平等をもたらすのは
距離という物理的制約だけではない
もう一つの制約条件として
家庭の経済力もある

スタディサプリを立ち上げた執行役員の山口さんは
この壁を打ち崩すサービスを作りたいと思っていた

実際に全国各地の高校に足を運ぶと…

山口さんは2010年当時はリクナビ進学のマーケティングを担当し
進学情報事業の拡大のために新規事業を立ち上げるプロジェクトに携わっていた
高校生目線で考えよう」と考え実際に全国各地の高校に足を運ぶと
そこで山口さんは想像以上の現実に直面する
山口さんは一人の女子高生に話を聞いた
その子は都市部から数時間離れた地域に住み、家庭も決して裕福ではなかった
彼女は大学進学を希望していたが
経済面が所以で通塾できないことから、半ば進学を諦めていた
「それでも進学したいんじゃないの?」山口が聞くと
諦めんといかんもん…」と答えたそうだ
この子だけでなく、別の地方でも、同じように
家が遠くて予備校に通えない」といった声をよく聞いた
山口さんは彼らを救う術を作りたい
それがスタートだったそうです!

新規事業提案制度 NEW RINGに応募

山口さんが彼らを救うために考えに考えた結果
参考にしたのは、米国の動画配信サービス「Hulu」だった
スマホなどのモバイル端末でどこでもいつでも視聴できる
このコンセプトで授業動画を作れないか、そう考えた
そしてそのアイディアをもとに新規事業の社内公募「NEW RING」にて
受験サプリ※現スタディサプリ」を発表した
そしてそこで山口さんたちはグランプリを受賞
同年中にサービスを開始した

なぜ980円で提供できたのか

今では少し料金体系は変化したが
当時は980円/月でサービスを提供開始した
なぜこの価格で提供できたか、実はすごいカラクリがある
人気講師たちは各予備校と個人契約を結びながら他の塾などでも働いたりしている
ここに目を向けた山口さんは受験サプリには副業として参加してもらえないか持ちかけた
もしアプリ自体が有名になっていけば、予備校で受講生も増える
いわゆるアピールの場として使ってもらえるようにお願いしたのだ
だからこそあんなにも有名講師たちの授業をこの価格帯で提供できたのです!

元リクルート社員との協働プロジェクト

実は受験サプリは元リクルートの藤原和博さんとの協働プロジェクトがあった
藤原さんも以前の記事に登場した元リクルートのレジェンドである
藤原さんが和田中で取り組んだ
宗教や労働、社会問題や国際問題を取り上げて生徒たちに議論させる
よのなか科」の授業51本を受験サプリに加えた
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)OECD(経済協力開発機構)などの国際教育機関は
批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、IT活用能力
これらを「21世紀型スキル」と定義し、子どもたちが身につけるべき能力としている
山口さんと藤原さんはこの21世紀型スキルを身につけられる授業を組み込みたいと考えていた
今、山口さんは「世界中どこに行っても無料でリベラルアーツを学べるようにしたい
と意気込み、世界展開も視野に入れている
東南アジアへのマーケット調査も行っていて、好感触を得ているという

課題は黒字化

授業動画アプリにはまだまだ課題がある
一番の課題は黒字化できていないことである
講師の契約料、システム費、販促費などがかさんでいる
先行投資して在庫を確保して、それを販売して回収していく
ビジネスモデルはリクルートは苦手である
リクルートは収益が上がらなければすぐに手を引くという潔さがあり
そういった早急な判断に嫌気が差してやめていったOBは沢山いる
一方、受験サプリは会社からの期待も大きく
今後会社としても伸ばしていきたい事業モデルの一つである

現在のスタディサプリのラインナップ

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